更年期は誰もが通る道ですが、
更年期症状が現れる人は6割程度、
生活に障りがあるほど症状が重い人はそのうちの3割くらいです。
ということは、
クリニックを受診するほどではないけどちょっと不調があるとか
月経不順以外は特に何も症状がない人も多いのです。
そういう人が気軽に始められる
更年期以降の健康対策としておすすめなのが
エクオールです。
1 エクオールとは
エクオールは大豆イソフラボンの一種ダイゼインが腸内細菌によって代謝されて生成する物質です 。
腸内で産生されたエクオールはエストロゲン受容体に結合し、弱いエストロゲン様作用を示します 。その結果、更年期にみられるホルモン不足による症状を和らげる働きをします。
2エクオールの効果
エクオールの効果は数多く報告されています。
例えば、日本人女性(エクオール非産生者)を対象とした臨床試験では、12週間のエクオール補給によって
更年期症状のホットフラッシュの頻度や首・肩のこりが有意に軽減し、
皮膚のシワが抑制されたとの報告があります 。
また、別の試験では1年間の継続摂取により骨密度の減少が抑えられ、
動脈の硬さ指標が改善するとともに、
血中脂質や血糖の指標も良好な変化を示しました 。
エクオールは更年期の手指の関節の痛みを和らげることでも知られています。
このように、エクオールは更年期症状だけでなく骨や関節の症状を改善したり、生活習慣病の予防や美容効果もあります。
3 エクオールを作れる人と作れない人
エクオールを生み出す腸内細菌は全ての人の腸の中にいるわけではありません。
一般に日本人やアジア人では約50%がエクオール産生能を持つのに対し、
欧米人では約30%程度にとどまると報告されています 。
大豆製品を積極的に摂る人はエクオールを作れる人の割合が多いという調査結果があり、食文化がエクオール産生能に影響しているかもしれません。
エクオールを作れる人ほど更年期症状が軽いというデータもあります。
自分にエクオールの産生能があるかどうかは尿検査でわかります。
ソイチェックという郵送型の検査キットでは尿中のエクオールを5段階で評価します。レベル3以上がエクオール産生能があることを示します。
理想的なエクオール値のレベルはレベル4以上です。
エクオール産生能がある人は積極的に大豆製品を摂りましょう。
1日の目安は豆腐なら⅔丁、豆乳なら200cc、納豆なら1パック程度です。
エクオールを体内で作れない人や、エクオールが作れる人でも毎日食品から摂ることが難しい人にはエクオールのサプリメントがあります。
ドラッグストアや通販でも購入できますし、婦人科などのクリニックで扱われることも増えてきました。
4 副作用や注意点
エクオールの適正量の摂取で重篤な副作用は報告されていません。
しかし持病で治療中の方やホルモン感受性の疾患(例:乳がん等)がある方は事前に医師に相談することをお勧めします。
5 最後に
エクオールを摂取することは
ホルモン補充療法のようにクリニックを受診する必要がなく、不正性器出血や乳房のハリなど副作用もありません。
いつから始めても良く、いつまででも続けることができます。
ホルモン補充療法に効果は劣りますが手軽に健康、美容対策ができます。
私が勤務する前原整形外科リハビリテーションクリニック、ココカラウイメンズクリニックでは大塚製薬のエクエルプチを取り扱っています。
もちろん尿検査でエクオール産生能が十分ある人は大豆製品を積極的に摂りましょう。
産生能があっても食事で摂りづらい方はサプリメントを飲むのもアリです。
女性の身体のこと、特に更年期以降のことは学校で学ばないため、大事な事を知らない方がとても多いです。
これからも「大人女子の心と身体」の情報発信をしていきたいと思います。