整形外科

先天性股関節脱臼

先天性股関節脱臼とは、産まれつき股関節がずれや、はずれが生じている病気で、どちらかというと、男の子よりも女の子に多く発症します。

また、逆子で生まれた場合は、出産時に脱臼してしまうこともあります。

先天性という名前がついていますが、後天的に発症するケースもあり、よくあるのがおむつ替えのときに無理に足をまっすぐにしたことによる脱臼です。

他には寒い地方に多いという報告があります。寒い地域では風邪をひかせないよう、外に出るときに赤ちゃんを何重にも衣服でくるんで防寒をするので、足の動きが妨げられることが原因となります。

症状

痛みがないため、赤ちゃんが泣いて知らせるということがなく、発見が遅れがちです。3カ月検診のときに医師が左右の太もものシワの数がちがうことなどから気づくケースが多いです。はずれかかっている状態を亜脱臼、完全にはずれてしまっている状態を股関節脱臼と呼びます。早期に発見して、適切な治療をすればほとんどがきっちりと治る疾患です。

具体的な症状

  • 膝を曲げた状態で足を開くと「コクッ」という音がする。
  • 股関節の開きが悪い。
  • 左右の足の長さがちがう。
  • 太もものシワの数が左右でちがう。
  • 脱臼側の臀部(お尻)にくっきりとしたシワがある。

保存療法

リーメンビューゲル

医師により、股関節脱臼であると診断されたら、リーメンビューゲルというバンドを装着します。
肩から足にかけて装着し、足の形を本来のM字形に保つことで脱臼を治していきます。
平均で3〜4ヵ月間装着します。

手術療法

ソルター(骨盤骨切り術)

骨盤を股関節上方約1cmの所で、垂直に切ります。その後、骨盤から移植用の骨片をとり、骨切り部に移植して臼蓋を下方に引き下げて、骨頭を覆えるようにします。

術後の1〜2日程は強い痛みを伴いますが、徐々に和らぎ1週間以内には痛みはなくなります。
入院期間は約2週間です。

リスク

骨盤から移植用の骨片を取るため、骨盤が変形してくる可能性があります。

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